ピカピカ実践(算数・数学)
小学校(中学年)
4年生の実践「北の国・南の国」
実践者−森川みや子
実践者
森川みや子
(実践時は東京・小金井二小勤務)
実践の概要
子どもの作文にもあるように、冬休み明けの最初の授業である女児が長野県の野辺山高原では厳冬期には -20度まで気温が下がる旨の報告を行ったことがこの学習のはじまりである。
まず、実際に学校内の様々な 地点で気温をはかろう、ということになり、教室の南側、廊下側、校庭の日当たりのよい場所、建物の影に 入る場所、などいろいろな地点で測定を行った。
測定を行ったのは1月の半ばである。
結 果
◎同じ教室内でも、窓側と廊下側で大きな温度差があり、窓側の児童は窓を開けようとするのに対し、廊下側の児童は強くそれに抵抗するわけがわかった。
◎気温は朝にぐんぐん上昇し、昼近くになるとその勢いが弱まり、12:30頃から気温が下がり始めることを折れ線グラフから読みとった。 学習はここで子ども達の知りたいことをテーマに社会科の学習として進行する。まず、自分たちの親の出身地で朝7:30から8:00の間で気温調べをしてもらおう、ということになり、手紙をそれぞれの縁者あてに送る。その返事はまもなく寄せられ、日本地図に同じ日の同一時刻の気温が書き込まれていく。
この気温図から、北の地方の気温が低いだけでなく、中央高地の気温も大変低いこと、そして野辺山高原 はその中央高地にあることも明らかにされた。
そして、それぞれの地域の冬の生活の様子調べや地域と作物の関係調べへと学習は進んだ。この中で、親 からその子供時代の生活の様子を聞いたり、祖父母からの聞き取りや手紙の交換が行われた。このやりとり
の中で、思いもかけず、学校間交流が始まった。
愛媛県・内子町在住の方がご自分の孫が通う学級を紹介して下さり、ミカン農家の工夫を中心にした情報がこの学級の子ども達から寄せられた。反対に、小金井からは都市部のサラリーマン家庭の生活の様子が
伝えられた。
この学習のまとめとして文集「北の国・南の国」へ編まれたが、この文集には親たちから寄せられた自分の子ども時代の思い出も掲載され、文集に厚みを増すことになった。
今回、この文集から、2人の子どもの作文を紹介する。これらの作文には気温のグラフや気温を添えた日本地図などが記載されているが、いずれも省略した。
−4年生Iさんの作文−
(この子の読後感想からこの授業が始まった)
1 本を読んで
野辺山高原 … 二月は気温れいか20度まで下がっているなんてびっくりしました。
2 ぎもん
○どんな生活をしているのか
○乳牛は何とう育てているのか
○キャベツを育てるにはどんな工夫をしているか
○どんな動物がいるか
○野辺山高原は東京よりどれくらい寒いか
野辺山高原の温かい所と寒い所の違いを調べたいと思います。行ってみたいと思います。
3 調べる
そこで学校で気温を調べました。私は「水」「ろうか側」「まど側」をやりました。私は初めてなので 「おもしろいかな」と思って「つまんないかな」と思いました。
結果 "水" 11度 "ろうか側" 12度 "まど側" 12度でした。私は「おもしろいな。早く9:30になら
ないかな」と思いました。温度計を水にいれたりして。
4 ちがい
夕方ころと日中では、日中のほうが温かいです。お日さまが上にいるからです。1:30のろうか側は12度。 まど側は17度。だから、5度もちがいがあります。これは「びっくり」!!。
5 授業参観
2月1日の3時間目に授業参観をしました。勉強は「社会」でした。グループに分かれます。気候・作物・ くらし・東京とのちがい・着物です。
私は気候と作物に入りました。てっていてきにミカンのことを調べました。グループの中に四国の子がい て四国のミカンのことや種類をしらべました。その事を発表しました。ちょっとはずかしかったけど発表しました。お母さん達は静かに見ていました。
6 おばあちゃんに手紙を
私は「社会で勉強する温度、計ってね」と言いました。みんなは、あいち、長野、 …、東京以外に送っ ていました。私は東京だったのでちょっと残念でした。内容は「7:30〜8:00までの気温を計ってください」
と書きました。
7 もどってくる
月曜日におばあちゃんから手紙が来ました。それにはこんなことが書いてありました。 「気温 1月25日。朝7:40 4度」と書いてありました。おばあちゃんに電話をしたら、「ストーブ何に
もつけていないよ」と言っていました。私は「寒いなー」と思いました。
8 昔は?
火ばちとこたつで温めたそうです。私は「昔はだんぼうがないから寒そうだなー」と思いました。
9 作物と気候
私は、小原さんと山岡君と庄司君とミカンをてっていてきに調べました。本を見て調べました。種類は40 近くあります。ミカンは気温と関係があります。小金井や北海道では作れない、ということです。
10 まとめ
1 作物と温度には関係がある
2 まど側とろうか側は5度もちがう
3 温度は大切な役割をもっている
11 感想
私はれい下20度は寒いなと思いました。温度は作物と関係しているから温度計は役に立つなと思いました 。ミカンは四国・温かいところでとれるけど、なぜリンゴは寒い青森県でとれるのか不思議です。有名だし
、…。
リンゴは寒い所でとれるということがわかりました。
−4年生S君の作文−
ぼくは、iさんが感想を読んだとき「へー 。野辺山高原は-20度にもなるんだな。東京でさむい、さむい
、いっているぼくにいけるはずがないな」と思いました。また、沖なわとずいぶんちがうとも思いました。 ぼくはそんなところで作物が育つのかなと不思議に思い紙に書きました。
4年二組で学校の気温調べをすることになったので、寒そうなところはやっぱり日かげや北側かなと予想をたてました。温度を計るので挙げられたのは「日なた、日かげ、教室のろうか側、まど側、階だん、トイ
レ、ジャングルジムの上、体育倉庫の北側、1F、2F、3F、4Fのろうか、水」です。はんで二つずつ 計ります。ぼくたちのはんはジャングルジムの上と階だんでした。
8:30、9:30、10:30、11:30、12:30、1:30、2:30と1時間おきに計りました。さっそく8:30計ってみたら、ジャングルジムでは4度でした。計った結果わかったことは日なたのジャングルジムでも風がふくから日なたより寒いとわかりました。風だけで温度がちがうんだなと思いました。しかし、9:30にもなると日が
あたってきたせいか9度にまで上がり、10:30には12度と10度をこえました。いっぽう、階段やろうかは建物の中だからあまり変化はありませんでした。しかし、日があたってくると教室の日があたるまど側とろか側では差が6度以上になりました。びっくりしてしまいました。ぼくは寒がりなのでまど側の人がうらやましくなりました。
1:30、2:30とだんだん寒くなってきたのでおかしいなと思ったらそれもそのはずで風がよくふいていました。
この実験でわかったこと
@ 建物のかげになっているところが一番寒い
A 水の温度は一日中かわらない
B 日なたは日なたでも風がふいている所とそうじゃない所ではずいぶんちがう<p> でも@の逆の例もありました。それは大寒の最後の日。これほど寒い日はなかったという日でした。朝か
ら風がびゅうびゅうふいていました。風があたるジャングルジムはー2度だったけど、風がさほどあたらない 体育倉庫は-1度でした。へー。こんなこともあるんだと思いました。
次にみんなの南の国・北の国で調べたいことを集めたらじつに20以上ありました。とうとうぼくたちは自 分の親せきやおじいちゃんなどの家に手紙を書きました。内容は25日の7:30から8:00までの30分の気温を計
ってもらい後は自由です。ぼくは兵庫のおじいちゃんに出しました。自由のほうは日かげと日なたのちがい にしました。そして手紙が27日に家に帰ってきました。内ようは、
日なた …… 7:40 4.5度 7:50 4.5度 8:00 5.2度
日かげ …… 7:40 2.5度 7:50 2.5度 8:00 3度
計った場所 日なた(庭)日かげ(げんかん前)
わかったことは兵庫の温度も朝はあまり東京とかわらないということと8:00に日があたると急に温度が上が
るということです。そして、その手紙をもとにしてグループに分かれていろいろ調べることにした。
ぼくは「あたたかい所と寒い所のちがい」グループにしました。メンバーは、ぼくとm君、k君です 。初日はふざけてばかりいてぜんぜん進みませんでした。二日目発表をじゅ業さんかんのテーマにすると聞いたのでみんな必死になりました。その日は4枚も書きました。しかし、あまり気温には関係ないことを調べていました。だんだん調べているとおもしろくなってきました。気温をグラフなどにもしました。
わかったことは北海道と大阪の気温の差が11度ほどになったことや兵庫と大阪の気温の差はあまりかわらないことです。ほかに日本の人口や積雪量など調べてわかったことがいっぱいありました。そしてじゅ業さんかんになりました。
父さんがきて昔の冬という話「しも柱をふみながら学校に息ました」と言っていたので学校にはしも柱が まだあったのかな、と思いました。一番おどろいたのはi君の母さんが川の水が凍ってしまい、川に氷の道ができて学校に行くのに近道ができたということを言っていました。富山県だそうです。
発表になりました。僕たちは2番目です。あまり題名と関係がなかったせいか少ししくじったけど無事終わりました。帰ったら父さんが「けっこう良かったじゃん」と言ってくれました。僕はこの勉強をしてぎもんに思ったことは日本だけでも温度差が20度にもなるので世界では何度くらいあるのかなと思いました。
−4年生Oさんの作文−
iさんの文を読んで
iさんは「社会自然とくらし」を読んで、野辺山高原がれい下20度とかいてあって、私はびっくりしま した。れい下20度といったらどのくらい寒いいんだろう、と思いました。私はすぐ東京とくらべてしまいま
した。東京の気温とくらべると30度もちがいます。私はこんなにさがあるとは思いませんでした。
1月21日の温度でわかったこと
私が調べた所は日なたと日かげです。日なたと日かげはだいたい2度〜3度くらいちがいました。1時間 ずつはかりました。でも同じ時間でも風によってちがいます。
かぜは、つめたい風、なまぬる「風、あったかい風、ときには風がないときもあります。このように、風で温度がかわるばあいもありました。気がついたこと
私は1時間ごとに日なたと日かげを やり、1時間ごとの温度の変化はどうなんだろうと思いました。でも、私はそんなにかわんないな、と思 いました。結果は、2度〜3度もかわっていました。
何時が一番?私は1時だと思いました。でも、12時が一番でした。
手紙の交かん
私が手紙を出した所は長野県松本市です。松本は冬寒いそうです。私はどのくらい寒いのか調べてみまし た。私の予想はだいたい9度〜4度くらいだと思いました。でも予想ははずれました。れい下3度。 −3
度でした。97年1月23日はれい下14度3分だったそうです。それにもう一こおどろいたことがあります。 お正月にふった雪がまだ残っている、とかいてありました。だから、「冬はとても寒い」とかいてありま
した。
くつ
私は松本はいっぱいくつしたをはくと思った。でも、ふだんは私たちと同じ。私は松本の人はふつうのくつじゃなくて長くつかな、と思いました。よくふつうのくつでだいじょうぶだな、と思いました。 |